【COA三瓶大志】郊外の小さな理美容室から銀座一等地のテクニカルディレクター就任。カットへの飽くなき追求で圧倒的技術力を習得、教育で地域格差ゼロを目指す

 

昨年9月、銀座の人気サロン『COA』に「テクニカルディレクター」として迎え入れられたのが、理容師・三瓶大志(さんぺいたいし)さんです。福島県から上京し、都内の老舗ユニセックスサロンで10年間修行。入社後の3ヵ月間は、ほとんど眠らず練習に明け暮れてわずか半年で入客を実現。その凄まじい熱量で毎日ひたすら練習を続けて得た三瓶さんのカット技術は、ミクロレベルの神技へと昇華しました。21歳でカットコンテストに優勝し、Japanチームの一員として渡米した経歴も持つ三瓶さん。壮絶な修行時代から現在に至るまでの、珠玉の実話をお届けします。

 


 

僕の技術は、みんなが寝ている間に練習して得たもの

 

僕は唯一の家族である母から「手に職をつけたら」と言われたのがきっかけで、理容師になることを決めました。地元の専門学校で学び、先生の紹介で東京の郊外にある地域密着型の理美容店に入りましたが、そこは師弟関係が残る老舗のお店でした。そこで10年働きましたが、入社してすぐに「やめよう」と思っていました(笑)。というか、在籍していた10年、常にやめようと思っていましたね。でも、そう思うたびに原因を見つめて「これって人のせいにしてないか?自分はどうなんだ?」とか、「もっとこうしたらクリアできるかな?」と、自問自答を繰り返しながら留まっていました。気づいたら10年経っていた感じなんです。

 

 

昔ながらのお店なので決まったカリキュラムもなく、基本的に先輩に聞いたことを自分で練習し、アドバイスをもらいながら技術を磨いていくスタイルでした。自分が売上を出せるようにならないとお金をいただくことはできないと思っていたので、誰よりも早く習得しようと思い、朝5時半に起きて夜10時過ぎまで練習して、帰宅後も3時まで練習し、2時間寝て出勤する生活を3ヵ月繰り返しました。そしたらほとんどの技術が身について、6ヵ月目には初めてお客さまに料金をいただくことができました。ですが、ほとんど寝ていなかったので10kg痩せて、ガリガリになっていましたね(笑)。グラデーションボブを1日3スタイル切ると決めていたので、5年間毎日休まずにウィッグでカット練習を続けました。

 

写真左から小西恭平さん(COA代表)、三瓶大志さん、青木大地さん(COA代表)

 

同じことをやり続けた人は最強だと思っていたので、正月も夏休みもひたすら練習。ウィッグ代で200万くらい借金しました。だけど僕は、”度外視”が好きなんですよ。とにかく練習に集中していたら、誰が見ても「カットラインが綺麗」と言ってもらえるようになって。しまいには、「もう綺麗だからやめなよ」「練習時間がもったいない」などと言われるようになりましたが、自分の中では満足していなくて練習し続けました。肉眼で見て綺麗でも、虫眼鏡で見ると汚いんですよ(笑)。このミクロの違いをどうしたら克服できる?と思いながら練習し続けた結果が、今の技術力に繋がりました。

 

僕が求めているカットのクオリティは、「このへんで練習を止めよう」の先なんです。だから”筋トレ”みたいなもの。「頑張ってあと10回やろう」の中の2回が筋肉を作る。だいたいの人はそこそこでやめちゃうから、同じようなクオリティになっちゃうと思うんですね。練習はやめなくていいと思うんですよ。僕は天才なんかではなくて、みんなが寝ている間に練習をしていただけなんです。

 

 

>さらに上の技術を目指して、枝村仁さんの門を叩いた

 

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